リネの防具の怪
つか、MMORPGってやっぱり史実考証甘いのぉ
防具ってふ・し・ぎ (藁
前回の武器おかしいよ!
の話が一部(つってもほんとに一部の知り合い)で好評だったモヨンなので、防具の話も書いちゃうぞ! ちなみに「防具」の方がなんとなしにおかしな状況満載でイトオカシだ。
ティーシャツ
最初にこのゲームで「なんじゃこりゃ」と悩んだのがこれ。防具の重ね着と言うアイデアはとても良いのだが、NCはなんか資料を読み解いたりしなかったのだろうか?
T-RPGマーニァな方はご存知の通り、鉄の鎧等をつけた時その下に重ねて着るものは「アーミング ・ダブレット(arming doublet)」と言う。柔らかい皮(ソフトレザー)製だったり、布製で少し綿入れたりして衝撃を吸収する目的の「防具」であり、ぺらぺらなティ〜シャツ等ではない。つかT-Shirtでは何の足しにもならんと思うのは私がT-RPG崩れだからですか?
参考資料
http://pweb.jps.net/~lynnmcm/armingdoublet.html
http://www.varmouries.com/vdoubl.html (必見! 鎧の着付け教室やってるよ!:苦笑)
アイアングローブ
まぁ、その方が判りやすいけどな…グローブか…ははは…グローブね…
ガントレットって単語知らんのかぁ!(爆
普通は篭手って「ガントレット(gauntlet)」と翻訳する。手首の少し上の辺りから指先までを保護する防具で、その上(手首から肘)を保護する防具は「バンブレイス(vambrace)」と呼ぶ。
なお、指が分かれていないタイプの手袋系防具は「ミトン」と呼ばれるので注意。
洋の東西を問わず、部分鎧には正しい名称と言うものが存在する。その辺の気遣いがもう少し欲しかったな。マニアは多いぞ…この世界。
参考資料
http://www.messiah.edu/hpages/facstaff/gdaub/armor/pictures/lonemtn/finggaun.jpg
オマケ:海外のステッキーなおっさんサイト http://www.messiah.edu/hpages/facstaff/gdaub/armor/picgloss.htm 上記は海外の鎧マニアのおっさんが作成したと思われる鎧のグロッサリー(索引)である。俺もGoogleさんで始めて見つけたんだけどこりゃすげぇ! 日本にも鎧メェ〜ニァは沢山居るし(信長の甲冑や武田の赤備えを欲しがるおっさんは結構多い) 武器防具に憧れちゃうおっさんに洋の東西は関係ないってこってすな(w |
アイアン・ブーツ
まぁ、そのほうが判りや(以下略)
基本的に西洋鎧で「ブーツ」に当たる部分を一括保護する部分鎧は無い。スネ当てと靴の部分がそれぞれ分かれた形で認識されている。靴の部分まで鉄で作ってるのはスーツアーマーみたいなのばっかりで(鉄の靴はサバトン:sabatonと言う)、普通はブーツにスネ当て(グリーブ:greave)付けるのが普通かと。史実に合わせるとゲームの部分鎧の処理が面倒になるので、まぁ、許容するしかないのかな。
参考資料
サバトン http://www.messiah.edu/hpages/facstaff/gdaub/armor/pictures/fletcher/sabaton.jpg
グリーブ http://www.messiah.edu/hpages/facstaff/gdaub/armor/pictures/fletcher/greaves2.jpg
オマケ:更にステッキーな西洋鎧武具通販サイト http://www.christianfletcher.com/ ぐはぁっ! 参った。 一応武器の通販サイトは結構知ってたんだけど、全身鎧まで買えちゃうサイトは始めて見たっス〜 ステキ過ぎ。もう最高。しかもこのサイトに出てる「レンジャーの剣」、カコイイじゃん。私の見た中でカコイイ度ナンバーワン臭い。525USD、うむ逝ける! (が、確実に税関でとっ捕まるだろうなァ…輸入してぇ〜) 何しろ写真が秀逸。イカス。おっさん臭くてイカス! 大好きだァ〜 この気持ち既にLove |
マント類
なんか他でも書いたけど…マントとクロークの違いがなんとも。
マント = ただの布切れと言うか何と言うか…袖が無い
クローク = 外套と訳し、袖がついてる
クロークはどっちかって言うと現在の「コート」に近いのではないかと。おっさんご用達の「トレンチコート」がクロークに近いのではなかろうかと思ってみる。
でだ、リネージュの場合COP(Cloak of Protection)と言う名前の防具のイメージが何故かマントで翻訳された名称が「保護マント」。名前と画像が一致するので回りまわって正しいのだが、なんじゃこりゃ感満載。おまいらきちんとクロークの意味とか判っているのかと小一時間(以下略)
謎の「高級皮革」
前々から思ってたんだが…これ翻訳正しいのか?
動物とかモンスターから取れるのは「生皮」だろう? それを加工した皮って「なめし革」では無いのかな?
NCの英語HPで確認してみた。
Leather = Item component dropped by monsters.(別箇所では"Fur"を当てている…)
Hard Leather = Item component created by combining leathers with the help of an NPC.
あら〜 革とハードレザー(蝋とか油で煮込んだ革)だったのね〜
どの辺が「高級」なのかがさぱ〜り判らヌ。
なお、日本語では加工前の生皮は「皮」で、加工後の皮は「革」と呼ぶ。IMEの辞書機能使って調べてみ〜
私は韓国語が判らないのでオリジナルのLineageでこの区別が行われているかどうかまったく知らない。しかし、英語版HPの記載を信じるのであれば、Leatherの翻訳に「動物の皮」という言葉を使用しているNC Japanは間違いです。生皮はLeatherではなく「Rawhide」(ローハイド 牛の生皮
#1 )等の訳語が当たります。英語サイトで当ててる「Fur」も訳としては余り良くないような気がするが…
(あれだ、ラグナで言うトコの「やわげ」になりそう)
なお、更に厳密に言うとハードレザーは通常「加工後に蝋などで煮て形を固定する」ので、ハードレザー状態で職人さんに渡すと職人さん大弱りだと思います。
私は「皮」と「なめし皮」当りの訳語を推奨します。
#1 ローレンローレンローレン♪
ローレンローレンローレン♪
(中略)ローハーーーイド♬
ってアレだ。カウボーイ映画とかで出てくる。俺の好きなBlues
Brothers(初代)でも歌出てるね。
ヘルメット
細かい指摘ですまんがの、ヘルメットに大別される防具って、固有名詞のあるものばかりじゃぜ?
Knight Visor (ナイトバイザー)
史実ではこのバケツ型ヘルメットを正しく「ヘルム」と呼称する。バイザーではない。そもそもバイザーって口と眼の部分を保護するヘルムの一部分であり、そこが別部品になって無いのはバイザーですらないんだが。
http://www.messiah.edu/hpages/facstaff/gdaub/armor/pictures/fletcher/helm.jpg
なお、この形のヘルメットはメイス等の打撃をうまく受け流す事が困難だった為、後の世ではヘルメットの扁平な頭の部分を丸く改善した兜が主流になる。この形式は確か十字軍遠征の時の頃の主流だ。
Iron Visor(アイアンバイザー)
これ、クローズ・ヘルムじゃないの? 絵では良く確認できないが「スカル」(頭蓋の部分)、バイザー(フェイスガード部)、そして首周りのBevorを併せた兜に見える。もしもこの3パーツからなるのであれば、それはクローズ ヘルムに分類されるべきものであると思う。比較的後世の兜ですな。(剣や槍が銃に主役を奪われる直前の時代)
ヘルム
なんかトサカ付いてますが(苦笑) このトサカ付の兜には「Comb
morion」と言う固有名があります。トサカの部分が「Comb」です。トサカなしの兜であれば…Barbut辺りが適当かな?
そいや、ヘルメット業界(あんのか、んなもの…)では有名なサリットやチェインメイルの頭版である「コイフ」は出てこないのか…惜しいのぉ(これ以上頭防具を細分化すると鉄兜が異常に強くなるので仕方ないんだろうけどさ…)
オマケ:そして不憫なチェインメイル
![]() チェインメイルの中でも有名な鎧 ホゥバーク(Hauberk) 腿まで覆うチェインメイルである |
チェインメイルは鎧の発達史に欠かせない、重要な鎧でした…それ以前の時代の鎧は基本的に革などの基本になる鎧に鉄の強化部品をくっつけて作成したものなんですが、この形態の鎧は実は重いくせに防御力が弱く、気持ち的になんとなく安全かなぁ…ぐらいの防御力しか持ってなかったらしいです。 なんでチェインメイルはそれほど強力なのかと言うと…そのしなやかさが重要らしいのですな。基本的にチェインメイルはフニャフニャの鎧なんですけど、どこを叩いてもすぐに変形するので、叩き切れなかったらしいんですわ。無論腕とかに一撃食らえば骨は折れるでしょうし下手すりゃ複雑骨折ですけど、切れはしなかった。 空手などで演舞を行う際、基本的に試し割りでは割る物を固定します。紐でぶら下がってる板を叩き割るには異常な修練が必要なのはすぐ判ると思います。(力が逃げてしまう) 最終的にはチェインメイルもスーツアーマー(オーダーメイドだよん。マキシミリアンとか名だたる王族/貴族しか持ってないんで無い? よく西洋の城の通路に飾ってあるアレ)に取って変わられていくんですが、基本的にチェインメイルの素地に鉄板をくっつける方式だったり、間接部の保護にチェインメイル素地を使って防御効果を高めたりしている訳です。ビバ チェインメイルなんですがの〜 |
![]() チェインメイルの素地拡大図 ![]() ノルマン人系の戦装束。ホゥバークにロングソード、カイトシールド装備。伝統的なバイキング系の意匠ですな。 |
無論、初期のチェインメイルはその加工の手間もかかるので、かなり高額な鎧であったと言われています。左の図を見てわかる通り、作るのクソめんどくさそうなんですよ(苦笑 しかし、それでも多くの人はチェインメイルを求め、鎧(メイル)と言ったらチェインメイルを指すまで一般化して行った物なのです。(ジーさんバーさんはPS2やセガサターンを総て統一して「ファミコン」と呼んでしまいませんか? つまりご家庭用ゲーム機の代名詞がファミコンである訳です。中世ヨーロッパの人々に取って鎧といったらチェインメイルだったのですよ) 強い、カコイイ、高額で偉い騎士様しか買えない鎧! これがチェインメイルです。オーキッシュチェイン? なにほざいてんだ貴様! あのオークにチェインメイル作成できる訳ねぇだろう! 店売り3000アデナ? やっす〜〜〜〜〜 桁間違えてるんじゃない? とまぁ、本当にゲームに反映させるとろくでもない事になるのでそこそこにして置きますが、チェインメイル、使えねぇとかいわんで少し愛でてあげてくださいな。 |